まさかのフランス

結婚したのがフランス人だった…フランス奮闘生活日記

結婚までの道のり④-a:婚前契約

そういえば婚前契約について書くのを忘れていた。

フランスでの婚姻においては、婚前契約というものがある。日本人の私は、というか結婚したことないし相続でもめたこともないので、まったくピンとこなかった。いまでも正直よく分かってないけど、要は自分と家族の財産をどうするかという話と理解している。

パートナーからは、こういうのがあるけど自分は別に必要ないかなと思ってる、と言われていた。当初は。婚前契約を結ばないと、デフォルトでは夫婦共有財産となる=婚前に取得した財産はぞれぞれのもの、結婚後に取得した財産は二人のもの。私も、それで別にいいんじゃないの、くらいに思っていた。

婚前契約の必要性を訴えてきたのは彼の家族。義母と義妹。義母は自分の実家+2つのホリデーホームを持っている。70歳になる彼女は、所有権を彼と妹に移している最中。妹は最近子どもが生まれ、相続等のことを考え出したタイミング。婚前契約を結ばないと、これから相続する不動産については私も相続権を持ってしまうということ(らしい)。他のブログ等を読むと、相続財産は結婚後に受け取ったものも個別の財産になるとあるので、コアの動機は他にあるのかもしれない。私に敵意があるわけではなく、家族のものは子どもに渡したいというごく普通の考え。

けれども面白いもので、私はこれをパーソナルに受け取ってしまった。
”いやいや、そちらの財産目当てに結婚するわけじゃないし、私もそれなりに稼いでるので、相続権なんて主張したり絶対しないよ”
”私のこと信用してない?”
”万が一離婚したら私はフランスいる意味ないので、さっさとおさらばします”
”そっちがそういう考えならこっちもこの結婚で損しないようにしっかり調べます”
なんて風に考えてたりして。

かくして私たちは夫婦別財産制の婚前契約を結んだんだけども、結婚もしてないのに離婚時の話をするのに本当に萎えたし冷めた。
フランスでこうした契約をする以上、文書はフランス語だし、公証人との会話もフランス語。圧倒的に私が弱い立場なので自分の身は自分で守らないと、と強く思った。婚前契約の正式な英訳を作らないとと思いつつ、やってないけども。。

少しピリっとした空気を作った婚前契約、今思うとやっておいてよかったと思う。というのも、夫婦別になるのはプラスの財産だけではなくマイナスの財産もしかり。つまり彼や彼の家族が負債を抱えたとしても私にはそれを背負う義務はない。また、ウチはろくに財産もないけど、仮に彼の親族に困った人がいて日本のウチの不動産の所有権を主張してくるようなこともない。お互いとその家族を守る契約なのだ。

夫婦別財産制で、私は私、あなたはあなた、ですべての財産をシビアにキッパリと分ける冷めた契約かというとそうではなく、夫婦にはお互いを助け合う義務が大前提としてある。

結婚する時は当然お互いを信じ一生一緒になんて思うけど、この先何があるか分からない。どんなに愛し合って結婚したカップルだって別れるときは別れる。経済的、精神的、感情的に独立していないといけない。自分の身は自分で守れないといけない。
そして、いつもお互い相手を尊重し賢くありたいと思う。